歴史的なタイプ別弓の試奏
2012/09/20
ガット弦を販売していて、お客様から弓の良し悪しがはっきりわかるようになった」というお話をよくうかがいます(+松脂の良し悪し、+腕の。。。)
特に最近は、ヒストリカルパフォーマンスなど、本来の音楽はどう演奏されたかに興味を持つ方が増え、結果的に昔のタイプの弓にもご興味を持って試奏に来られる方が増えてきました
弊社では通常の(というのも変ですが)バロック弓は、中国のIESTA(イエスタ)社から、良質で安価(¥55,000~)な弓を仕入れてご提供しています。一方で、イタリアの弓職人バルビエロ氏はさまざまな弓をリーズナブルな値段(¥140,000~)で提供してくれるので面白く、いろいろなバリエーションの弓を注文しています
今回、バイオリンとチェロそれぞれについて下記の4タイプの弓をそろえて試奏していただいています
A.モダン
B.クラシカル
C.バロックA(通常イメージされるバロック弓。フロッグはスクリューで調整できる)
D.バロックB(コレッリタイプとかクリップオンタイプとか呼ばれます。スクリュー無し)
試奏した方達は異口同音に「弓でこんなに変わるのか」と驚かれますが、楽器屋の立場で見ると変わらないほうがおかしい。道具によって違うことを楽しんで、それぞれの特徴を活かした演奏をお楽しみいただければと思います
●一般に、モダン弓は皆様ご存じのように近代クラシックの演奏に特化して作られた弓。シャフトの反りが強く、チップが大きくできており、手元(フロッグより)から先(チップ寄り)まで、比較的均一の力と音で演奏できます。シャフトはフェルナンブコ。一般にフロッグはエボニー。フィッティングパーツは銀や金が使われます




対極にあるのがコレッリタイプの弓。これは元に比べて先のほうが極端に力がかからない構造になっており、一つの音を弾いても元と先では音色、音量が変わります。昔はそれが当たり前だったのでしょう。いかにも人間の会話、言葉をしゃべるような表情がつきます。シャフトの中に空洞がなく、金属部品もないので発音がとても良い。さらに、短めで運動性能が良いので、ビバルディなどの早いパッセージは弓が自然に動いてくれる。音の立ち上がりが早く、切れもよく、いかにもダンス音楽を弾いていた弓という感じがします。シャフトはスネークウッドや各種のハードウッド(固木)。フロッグもスネークウッドやホーン(水牛の角)など




●次のいわゆるバロック弓は、単音の中で強弱はつくものの、コレッリ弓よりは長い音で表情をつけられる。少しモダンに寄ってきます。一般にシャフトはスネークウッド。フロッグなどのフィッティングパーツはスネークウッドやそのほかの各種樹種、象牙(いまはワシントン条約の関係でマンモスの牙で代用)などが使われます






●さらにクラシカル弓になるとだいぶモダン弓に近い感触になります(それでも単音に表情がついて自然に語りかける感じは備わっています)。そういう意味ではバロック~近代の音楽を楽しむ皆様にとっては汎用性のある弓でもありますし、もっともっと知られて良いのではないかと感じました。シャフトはこのあたりからフェルナンブコが使われるようになりました。フロッグには象牙やエボニー




興味をお持ちいただけたら、是非試奏にお越しください。(予約必須です)
また、弓は常に販売/入荷していますので、その都度在庫は変わりますこと御承知おきください
==最新の在庫のご案内==
現在のバロック弓・クラシカル弓在庫一覧・最新の価格表をこちらからご覧いただけます
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