4.ガット弦の取扱と手入れ



下記のお手入れを心がけましょう。

・演奏の後には汗などの汚れは拭き取る
・弦についた松脂は拭き取る
・ナチュラルガットの場合は次項のようにときどきオイルを塗る。
・毛羽立ち(ひげ)は切り取る

●ナチュラルガットの場合のオイル塗布
市販ガット弦は「ナチュラル」弦が多い
オイル塗布の必要性を知らないままに使うために「ガット弦は耐久性が無い」との誤解を生んだ。
前に説明した、ピッチや楽器と弦の太さの選択の間違いも多かったかもしれません。
正しい弦を選んで正しく取扱うことでガット弦のすばらしさをお楽しみください。

・オイルを塗る場合のオイルの選択
 アーモンドオイル
 エキストラバージンオリーブオイル
 軽めの種子性の油が良い(pH値がガットに適している)
・弓の毛があたる部分(松脂がつく部分)には塗らない

●ヴァーニッシュをかけたものは表面が保護されているのでこういった手入れはほとんど不要
乾湿の変化の激しい日本ではヴァーニッシュ弦の耐久性が高い

●新しい弦の取り付け:弦端の処理
・弦が長すぎたり、古い弦をガンバやリュートなどのフレット用に使うために端を切る必要が出てきたりした場合は、切ったあとの端をライターなどの火で少しあぶる。溶けて小さな固まりになるので、よじりあわせた繊維がほぐれにくくなる

●毛羽立ち(ヒゲ)の処理
毛羽立ちのようにひげが出てきた場合にはそこからほぐれるので決してそのひげを引っ張らないように。よく切れる爪切りやはさみなどで、ひげの根本から切りとります

●モダンの弦からガット弦への付け替え
弦の太さが大きくなる場合:
ブリッジとナット(上駒)の弦溝の太さを弦にあわせる
普通はモダン弦のほうが細いので、太くする
弦の太さに近い極細の丸ヤスリがあればベスト
精密加工用具として「ラット・テール」などの名称で取り扱っている場合がある。
弊社HPから、極細のヤスリをお買い求めいただけます
弦溝の深さと幅は、弦が半分埋まるぐらいを目安とする

溝は弦がスムーズに動くためにざらざらにならないように。滑りやすいように柔らかい鉛筆の芯や、蝋、石けんなどをこすりつけておく
普通は金属弦よりもガット弦のほうが振幅が大きいので、弦高も少し高くしたほうがよいかもしれない
(これはブリッジの新調が必要になるので専門の技術者に相談したほうが良い)

●テールピースへの付け方
初めてガット弦を使う方からお問い合わせをよくいただきます。

ガット弦の場合アジャスター(ファインチューナー。ピッチの微調整用のネジ)は使いません。できれば取り去る。組み込み式テールピースの場合はテールピースごと取り替える。
ガット弦にはボールエンドやループエンドはないので、テールピースへの取り付けは一般に下記2種類の方法があります。
(1)結び目を作って抜けなくする

@テールピースの孔に弦を通してから
Aテールピースの裏側で弦に大きめの結び目を作ってひっかける
穴から抜けない程度に大きめのしっかりした結び目ができれば可
写真は一例で八の字結びといわれるやり方です
これで両端を引っ張ると普通の固結びより少し大きな結び目になります

(2)ループを作って通す

もう一つは
@同様に穴に弦を通してから
Aその弦の、テールピースの穴から出てネック側に伸びているもう片方の端に巻き付けてループを作って締める
最後は2〜3度巻き付けてから長い方(ネックの方に伸びている方)を引っ張って引き締めてやればしっかりと止まります。





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