1.楽器用弦の簡単な歴史


弦楽器の起源:狩猟のために弓をつくってその弦をはじいた瞬間?
弓弦:植物の蔓や獣の皮、腸、また絹糸などが使われた
宗教:古代の儀式には弓の弦をはじく音が魔除けに使われ、詠唱の伴奏になっていったと思われる


●音楽の音域の変化
西洋ではゴシック、ルネッサンス、バロックと時代が下るにつれて音楽も発達し、使われる音域が拡がっていきました。弦楽器もそれにあわせて音域を拡げていきます。
●低音用弦
低音を演奏するためには太い弦を作る必要があり、ガットをよりあわせただけでは弦そのものの太さがあまりにも太くなって演奏性を著しく損ねるのでさまざまな工夫がなされました。
●弦お製作者
弦は中世には演奏者が自作することが多かったようですが、ルネッサンスの頃から各地に弦作りの専門の職人/メーカーが現れて優秀さを競い、技術開発競争も盛んになりました。

●低音弦のための技術開発
*重金属塩の溶液に浸してガットそのものの比重を重くする方法が用いられたこともありました
*ヴェニスカトリン(拗り合わせて作ったガット弦をさらに数本ロープ状に編むという作り方もありました
TOROではこの方式も再現しています同じ太さの通常の弦に比べるとよりしなやかなのでプレーンガットよりも少し太めの弦を張ることができます。高音域の倍音が増します。
●巻線の発明:
17世紀後半に羊腸の上に金属を巻き付けて比重を重くする、現代につながる巻線の手法が開発されました。金属を巻くことによって極端に太くせずに適度なテンションで低い音が出せるようになったわけです。ヴィオラ・ダ・ガンバに7弦目が付け加えられたのは、この技術のおかげで適度な太さの低音弦(A弦)が作られたことと直接関連しています。昔は電気がなかったのでメッキやアルミは使えませんでした。
●モダンな弦
20世紀の初頭までは弦と言えばガット弦でした。
20世紀の中頃から金属弦と合成素材の弦が普及し、その安定性や取扱やすさが受け入れられてガット弦を駆逐して今日に至っています。ですから、マーラー、ストラヴィンスキー、バルトーク等の時代もガットしかなく、作曲家も当然その響きを想定していたわけです。
現代でも、音の陰影、ダイナミクス、音程感、発音のよさといった豊かな表現の可能性でガット弦の良さが改めて見直されています。

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