過去スレ:古楽器、アルペジョーネを復元しました

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過去スレ:古楽器、アルペジョーネを復元しました

投稿記事by nomura » 2013年9月25日(水) 2:31 pm

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0 古楽器、アルペジョーネを復元しました
奥村治

このたび、3年かかって ライフ・ワークである楽器製作、
アルペジョーネ(シューベルト作曲、「アルペジョーネ・ソナタ」の専用楽器)を復元いたしました。

先日、東京交響楽団首席チェリストのボーマン・ベアンテ氏が、レクチャーコンサートにて、
私の楽器でシューベルトの「アルペジョーネ・ソナタ」を試奏くださいました。
アルペジョーネの公演は日本で初となりました。
5月2日、朝日カルチャセンター・湘南にて。

さっそくブログでコンサート概要の写真を掲載しました。
http://blogs.yahoo.co.jp/zero_concert/f ... 31112.html  
ホームページも更新させていただきました。
http://arpeggione.web.fc2.com/  

2009/05/15 14:29


1 おめでとうございます
Nom

>奥村様
実際に弾く人もほとんど居ない中、復元完成、おめでとうございます!

写真で拝見するとフレットがないタイプなのでしょうか?
アルペジオーネ自体はギターのように金属フレットがあるのが特徴とばかり思っていました。それが実際の演奏上はかえって和音などの難しさを引き起こしていたのだろうと想像していましたが、フレットが無いならばそういった問題はなさそうですね。(演奏者の力量しだい?)
こういうタイプも存在したのでしょうか?それとも奥村様の創造ですか?

2009/05/15 14:47


2 アルペジォーネのフレット
Nom

奥村さまが別スレッドで投稿してくださいましたが、元の話題に続いたほうがわかりやすいと思うので、お願いしてこちらに続けました。奥村さまありがとうございます。

>アルペジョーネの復元ですが、フレットのお問合わせがありました。わたしの
>楽器は15フレットまで結束バンド黒で張込んであります。写真では指板の黒
>と同化して見えにくいですが、しっかり張込んで歪みません。
>http://arpeggione.blog48.fc2.com/blog-entry-195.html
>先にプロのチェリスト、Bボーマン氏にこのオリジナル楽器の金属フレットでは
>なく、結束バンドでのフレットを使用したOKモデルであることを了承いただいて
>演奏会に提示していただいております。

2009/05/20 00:32


3 クレモナのバイオリン製作学校にあるアルペジョーネ
奥村治

バイオリン製作工房の仲間で現在クレモナに在住のN_H氏が、以前にアルペジョーネの写真を送ってくれました。クレモナのバイオリン製作学校・楽器博物館に、アルペジョーネがあります。たぶん学生さんの卒業制作展示楽器だとおもいます。このアルペジョーネの指板には、フレットがありません。伝統的なシュタウファーモデルでは金属フレットがうち込まれていますけど、ノンフレットも現存する事例を確認しました。ご興味があるかたは、ご訪問し見学されてはいかがでしょうか?

2009/05/20 11:05


4 学生の卒業制作品は。。
Nom

>奥村様
バイオリン製作学校の卒業制作品を歴史的な楽器の傍証にするのはいかがなものでしょうか?

実際に当時使われた楽器でフレット無しのものがあるのでしょぅか?
もともとギター・チェロとか、弓奏ギターとか呼ばれていたように、フレットがある(ギター属)ことがシューベルト/シュタウファーの作った楽器の最大の特徴だと思うのですがいかがですか?
当時はヴィオラ・ダ・ガンバがすたれてしまった後、ギター属のようにフレットがあって初心者でも音程をとりやすい楽器を作って、音楽を自ら演奏する人たちを増やしたいという意気込みで作曲家と製作者が取り組んだものと理解しています。フレットがあることで重音の演奏やハイポジションも(初心者には)やりやすくなるでしょう。

たしか製作者のシュタウファーはギター製作者ではなかったですか?
金属フレットの打ち込み、それも表面がカーブした指板にきれいに打ち込むにはそれなりの治工具を用意しないと難しいので、バイオリン系の楽器しか作ったことがない作者にはとてもやりにくいだろうと思います。まして弦長の細かい割り振り計算は、ベテランのギター製作者でないとわからないでしょう。
クレモナの製作学校のものがどういった経緯でフレット無しになったのかは問い合わせて見ればわかるかとは思います。もしそれがどこかに存在する歴史的モデルをサンプルにしたということであれば、しっかりした事例になっていきますね。

2009/05/20 12:20


5 フレット無しの
a.harada

フレット無しのアルペジオーネもあるらしい、という話は聞いた事があります。
オリジナルのアルペジオーネを持っている、と言っていた人の写真を見せてもらったことがありますが(その楽器の真贋は解りませんが)フレットが無いものでした。
もしかしたら、フレット無しで演奏していたのかもしれないし、(少なくとも金属のフレットが打ち込まれたものは、少しの調弦の狂いも致命傷となるので後からフレットが可変式、もしくは無しにした、、、という憶測もできます)ガンバのように後からフレットを巻いていたのかもしれません。

2009/05/20 15:41


6 新しい楽器の開発
Nom

>原田さま
なるほど、実際にシューベルトの時代に使われたのでしょうかね?

楽器作りの観点からすると、指板に金属フレットが打ってあるかないかというのは、完璧に違う楽器と思えます。(バイオリンに金属フレットを打った楽器も実際にありますけれど、それを普通にバイオリンとは言わないですよねw)

音楽家(作曲者、演奏者)のお立場でも、金属フレットの有無は混同できないものではないでしょうか?自分では「アルペジオーネソナタ」の演奏法上の議論はできないのですが、6弦、ギターチューニング、24フレットという特性を活かした曲として書かれているのではないかと想像しますが、いかがですか?

2009/05/20 16:04


7 歴史に忠実なのか、自作オリジナルなのか?
奥村治

完全復刻の楽器、つまりシュタウファーとその弟子とされるミッタイスの楽器にはたしかにフレットがついています。一方、いままで情報収集した自作オリジナル楽器には金属フレットいがいにガンバのような巻き弦が9フレットついているものもあります。さらにノンフレットのも多数あります。アルペジョーネ属という分類が許されれば、フレットの有無、またフォルム(形状がギターカーブ、ガンバのようなC、そしてチェロのような鋭角のCなど)もさまざまです。先祖の2人も博物館に所蔵されている形状は完全に一致している楽器ではなく、年代によって進化したデザインになっています。クレモナの楽器博物館にある楽器を確認しましたら、作者不詳の歴史作品で学生の記念品ではありませんでした。もともとギターとチェロが複合した発明品なので、学説や定義は定まっておりません。25年間私が膨大な資料を収集してきましたが、この楽器に関する学術的な論文はなく、現存する4台が博物館にあるだけです。したがって、日本にいうような琵琶のような分類にあたるのかなと試行錯誤の分析段階であります。皆様のお説ごもっともでありますし、貴重なご指摘、アドバイスに感謝いたします。現代のギター工房、ヴァイオリン工房のルシア(技師)からも、フレットの有無に関して、良否の説もいただいております。他方で演奏者からはいちいちポジションを確認するようなプレイはしておらず、フレットは邪魔だというプロがいらっしゃいます。このような達人であればなおさら実際にフレットはいらないんでしょうね。

2009/05/22 12:18


8 楽器の製作意図
Nom

>奥村さま
おっしゃるとうり「歴史的な楽器」を復刻しようとしているのか、「自作オリジナル楽器」を創ろうとしているのかで話しがすれ違いますね。
そのあたりをクリアにされると良いのではないでしょうか。

「アルペジオーネ」自体が創られた当初は、フレット、多弦(4度ベースの弦間隔)のメリットが活きるような対象者に広めたいと思って開発されたのでしょう。
現代の新しいターゲット(チェロ演奏に習熟している人たち)を想定して新しい楽器を創る、という試みもありですね。その方がフレット打ちに慣れていない製作者の方々にとっては、チェリストというターゲットにアプローチしやすいこともあって早道かもしれませんね。

2009/05/22 12:50


9 アドバイスをありがとうございます
奥村治

明確な定義、そして体系化などこの楽器のポジショニングはまだ確立されていません。
今後は徐々に精度を高めていこうと、NYメトロポリタン博物館の学芸員に教えをうけてみます。

歴史的な特徴を保存しつつ、現代の工法、ないしは耐久性がある弦をどう活用していくかなども考慮し、コネクションある有能な演奏家に楽器演奏をお願いして、改良・改善点をうかがうのが一番いいのかな、と思います。

ご指摘のように、チェリストはこの楽器にかなり興味をもたれています。
事実、チェリスト出身者の数人がCDもだされていることでもうかがえます。

古楽器制作の達人、師匠の平山照秋先生は、歴史に忠実なアプローチで金属フレットのアルペジョーネを2年前に製作・販売されました。

2009/05/22 21:44


10 YouTube にアルペジョーネ演奏デビューしました
奥村治

アルペジョーネで「鳥の歌」(カザルス)を演奏しています。
画像は横ですので、寝ながら横向きに見てください(笑)!
間違った部分もしっかり記録され、そのまま世界中に配信中、かなりビビります
http://www.youtube.com/watch?v=gkrDTQyjAN4

2009/07/01 22:10


11 2作目のアルペジョーネできました
奥村治

2代目のアルペジョーネ、

Anton Mitteis model, 1824 Leipzig

完全復元のレプリカとして製作いたしました。

アンテーク仕上げです。

2010/01/20 08:31


12 金属フレット
Nom

>奥村さま
おおお、金属フレット打ち込まれたのですね?
フレットの位置割や、指板のカーブにあわせて打ち込むのは大変だったでしょう?
側板と裏板の杢の感じも素敵ですね。
完成前なのかな?どんな音になるか、初代との違いはどうか、楽しみですね。

2010/01/20 08:51


13 そうです、金属フレット打ちこみました
奥村治

やっとこさ、苦労しました(爆笑)!!
フレット計算、実音チェック、フレット高さ調整、弾きやすさなど疲れました。
駒、テールピースを別のものを交換しようと、また職人魂がわきあがり・・

裏板、側坂、ともにバーズアイメイプル仕上げです。裏板は貴重な1枚ものです。

OEM生産、販売をしたいので、貴社お取扱願いませんかあ?

3代目はシュタウファーモデルのViola Pomposa サイズを製作中です。

2010/01/22 12:48


14 生産、販売は
Nom

多分採算がとれないですよ(^_^;)
個人の単品製作の場合は、製作者ご本人がお客様と直接売買されるのが妥当な線でしょう。
ヴィオラ・ポンポーザは実際の演奏を聴いた印象で、あまり扱いたいと思いませんでした。歴史的な面白さはともかく、楽器としては無理があるので格別お客様にご紹介したいと感じなかったのです。(←楽器屋としての個人的感想)

2010/01/22 13:04
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登録日時: 2013年9月23日(月) 11:26 pm

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