コントラバス弦のヴェニスカトリン

コントラバス弦のヴェニスカトリン

投稿記事by nomura » 2013年10月03日(木) 2:19 am

0 コントラバス弦のヴェニスカトリン
内山和重

どうもはじめまして。
TORO社のベース弦・ヴェニスカトリン(ヘヴィーゲージ)を張ってみました。
セッティングはG・D線がヴェニスカトリンのヘヴィーゲージ、A・E線が銀線巻のヘヴィーゲージです。
私の楽器はTHOMAS MARTIN・2000年製(イギリス)のコントラバスを使ってます。
弦長は103cm、ピッチは442です。
この楽器はニコロ・ベルゴンツィ1780年製のコピーですが、バスバーなどはモダン仕様だと思います。

以前はTORO社のプレーンガット弦(ヘヴィーゲージ、G・D線)を使用してました。
それを今回の注文でヴェニスカトリンへ同じゲージで張り替えてみたというところです。

まずはプレーンガットとヴェニスカトリンの見た目の印象はほぼ変わらず、明らかにツイストしているという感じは無かったのですが、よく見ると、弦の縒りがプーレンガットに比べて、ヴェニスカトリンのほうが明らかに細かいです。プレーンガット弦を使用している方は、弦を縒った時にみられる、弦に対して斜めの線があるのをご存知かと思いますが、その角度がなだらかであるということです。
つまりは、よりきつめに縒ってあると考えられますが、弦の感触はプレーンガットよりも柔らかくかんじます。そして、縦方向の伸び(弦の初期伸びしろ)がプレーンガットに比べて多い気がします。安定してくれば、本番で難なく使えてます。プレーンガット弦よりも音が裏返ることが少ない気がします。

弓でもピッチカートでもこのしなやかさが体や腕への負担を減らしているように感じてます。
本当に「重さを乗せて離す」ということだけでしっかりした発音と、楽器が鳴るという感じがします。激しく弾いた時にできる血豆もまずできません。

ちなみに私は1×ヴァーニッシュでしたが、一週間ほどオリーブオイルに漬けてから使用しました。
次回(おそらく来年・・・)はノーヴァーニッシュにしてみようかと考えております。

まずは私が弾いてみた感想です。
もし質問などがありましたら、ご遠慮なくどうぞ。

2010/07/16 08:45


1 貴重なご意見を。。
Nom

>内山さま
ご投稿ありがとうございます。
コントラバス弦はどうしてもお値段が高くなるので、いろいろと試したいと思ってもなかなかできない方が多いと思います。幸いTORO弦は持ちが良いので、なおさら張り替えて試す間の期間も長くなりがちですし(^_^;)、新しい弦を試したご意見、ご感想はほかの皆様にとってよい指針になると思います。ありがとうございます。
●ヴェニスカトリンの構造と由来
通常の弦は、細く切った羊腸を固くよりあわせてあるのですが、ヴェニスはそのよりあわせて作った細い弦をもう一回よりあわせて作ってあります。船の錨綱(なんて言っても、見たことのある方は少ないでしょうがw)のような感じですね。昔の帆船では錨のことをキャットと呼び、その綱をキャットライン、キャトリンなどと呼んでいたようです。昔、ヴェニスは貿易港として栄え、またイタリアで作られた良質のガット弦がヴェニス経由でヨーロッパ各地に販売されて実際はナポリ、ローマなど各地で作られたものが他の国では「ヴェニス産」と呼ばれたこともあったようです。
●オイル漬け
メールでも内山さんとはお話しましたが、TOROさんは、ヴァーニッシュをかけたものはオイル含浸は必要ないとは言っていましたが、どのぐらい差が出るものでしょうね。比較実証していないので厳密なことは言えません。
もし(来年)ナチュラル弦をお試しいただくことになりましたら、そのときはオイル漬けは必須ですね。

2010/07/16 08:38


2 コントラバス弦比較 (ヴェニスカトリン、プレーンガット)
内山和重

オイル漬けの件ですが、以前使っていたプレーンガット(1×ヴァーニッシュ)はオイル漬けせずに布にオリーブ油を染みさせてまんべんなく拭いてから張ってました。
今回、ヴェニスカトリン弦(1×ヴァーニッシュ)をオイル漬けした理由は二つ。
一つ、野村さんからもヴァーニッシュ処理の弦にはオイル漬けは必要ない、と言われていましたが、プレーンガットを弾いていた時に、オイルで拭いたときと、拭かなかったときでの安定感と弦のしなやかさに違いを感じたので、ダメもとで漬けてみました。
一つ、送られて来た弦が前回注文したプレーンガットよりも弦全体が白っぽく感じた。これを私は乾燥が進んでいるのだと捉え、梅雨と夏の季節を目前にしていましたので、湿気対策の一環としてやはりダメもとで漬けてみました。

以上の理由から1×ヴァーニッシュであるにも関わらず漬けてみましたが、現状では銀線巻のA・E線よりも狂いが少ない、以前(プレーンガット)よりもほつれ(ささくれ)がかなり少ないです。
しかし、これはプレーンガットとヴェニスカトリンの違いなのか、オイル漬けにした効果なのかは分かりません。

いずれにせよ、私は現段階においてヴェニスカトリン弦に関してはプレーンガット弦よりも満足しています。ガットがきしむ感じも少ないように感じますし、また音が裏返ることも少ないように感じます。これらの感触に関しては同じゲージでの比較なので、オイル漬けの件よりも私的な感覚ではありますが、実感が強いです。

また、おそらく未体験の方であれば、想像しているよりもヴェニスカトリン弦(ベース弦)の凹凸が少ないので、本当に違和感無く試せます。

ただ、私の周りの反応は、同じ楽器の方々よりも、違う楽器(ヴァイオリンやクラリネット、パーカッション)の方々からの反応が明らかにいいです。やはり同じ楽器で、スチール弦だけの奏者の方には見た目で拒否されてしまいがちです。
ガット弦の良さとともに、いろいろな価値観が生まれ、理解されてゆくといいなと思います。

2010/07/22 01:40


3 ヴァーニッシュありでもオイル漬け
Nom

>内山様
貴重なレポートありがとうございます。
ヴァーニッシュありでもオイル漬けの効果があるんですね。
メーカーの言でも、また理屈からしても影響はないように思っていたのですが、実体験として差が出るというのはとても貴重なレポートです。

もともとヴァーニッシュはごく薄く塗っているものですから、もしかすると外気の遮蔽効果が薄い部分があるのかもしれません。そういう部分があると、オイル漬けにすればそこをカバーしてくれて安定性も増すのでしょうね。

違う楽器の方からの反応が良いというのは面白いですね。スチール弦はスチール弦の良さがあると思いますし、おっしゃるような多様な価値観と音楽が広まってくれることが楽しみです。
昔の文献を読んでも、ガット弦は太くなる(低音域になる)ほど弦の質が良くないと使えないという表現がありました。TORO弦がベーシストの皆さんの可能性を広げるお手伝いになれば幸いです。

2010/07/22 09:25
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登録日時: 2013年9月23日(月) 11:26 pm

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