過去スレ:ヴァイオリンのG線の裸ガット化について

過去スレ:ヴァイオリンのG線の裸ガット化について

投稿記事by nomura » 2013年9月24日(火) 3:34 am

0.ヴァイオリンのG線の裸ガット化について
モグラ

 ヴァイオリン弦についてですが、裸ガット(プレーンガット)を愛用している方でも、G線だけは銀巻きのG線を使用している方が多いと思います。私もTOROの裸ガット弦を愛用してますが、A・D線は裸ガット、G線は銀巻きのガット弦を張っています。
 TOROの銀巻きのG線は、音が良くて私も気に入ってますが、このたび、G線も裸ガット化する実験をしてみることにしました。
 A・D線を裸ガットにして非常に良い結果が得られたのだから、思い切って、G線も裸ガット化したら面白いのではないか、と思ったわけです。
 現在、いろいろなゲージを張って試しているところですので、近日中にレポートしたいと思います。それでは、ごきげんよう。

2008/07/15 20:41

1.あくなき探求、深謝
Nom

>モグラさま
本当にいろいろなことをお試しいただいてありがとうございます。
モグラさま以外にも、G線の裸ガット化にご興味をお持ちの方もいらっしゃいます(その方は一切ネットはやっていらっしゃらないのですが)。
他にもTOROで裸ガットの魅力をお感じいただいている方が増えてきており、一つのなりゆきとしてG線も裸ガット化したらどうなる?というのは興味を持ち始めて居る方がほかにもいらっしゃるのではないかと推察しています。
問題点なども含めて、ぜひご経験を公開していただければと存じます。
よろしくお願いいたします。

2008/07/15 21:50

2.G線の裸ガット化について
モグラ

G線の裸ガット化についてレポートします。
 私が、そもそも、G線を裸ガット化しようと思ったのは、A・D線にTOROの裸ガットを張ってみて、その音色の多彩さや表現の幅の広さを実感したからです。ただ、A=440~443Hzの現代の(モダンの)ヴァイオリンに裸ガットのG線を張るというのは一般的ではなく、どれくらいの太さの弦を張れば良いのかということがわからないので、私自身いろいろと試行錯誤しながら実験しているところです。
 チェロのD線にちょうど良さそうなゲージがあったので、まず1.70?のものを試してみましたが、明らかにテンションが足りず、すぐに1.75?のものに張替えました。それでもまだテンションが足りなかったので、別注で1.80mmのG線を作ってもらって、それを張ってみました。すると、ようやく実用可能なテンションが得られました。
 1.80mmの裸ガットのG線のテンションは、演奏実感としては、銀巻きG線の0.74?のものと同じくらいの「張り」が感じられます。私は、銀巻きG線では0.80?のものを張っていたので、裸ガットのG線では1.80mmより少し太いゲージが合うと思います。そんなわけで、別注でもう少し太いものを注文しています。
 私のヴァイオリンは、ドミナントやオリーヴを張った状態で駒や魂柱を調整したままであり、TOROの裸ガット弦を張るために特別な調整は施していません。TOROの裸ガット弦のゲージ選択にあたっては、ドミナントやオリーヴのテンションバランスに近い組み合わせを選ぶようにしています。
 1.80mmの裸ガットのG線の弾き心地についてですが、弦が太い割には意外と弾き易く、右手も左手も慣れるとあまり違和感はありません。銀巻きG線の約2倍の太さということで、最初は、左手で弦を押さえるときに多少違和感がありましたが、1週間ぐらい弾いていたら慣れてしまいました。
A・D・G線全て3×ヴァーニッシュを張っていることも多少影響があると思いますが、松脂の量をほんの少しだけ多め(1往復多め)に塗ってやると、弾き易くなって音も良い感じです。ちなみに、E線はスチール弦(ヤーガーのミディアム)A線は0.80?の裸ガット(3×V)、D線は1.06?の裸ガット(3×V)を張っています。
裸ガットのG線は若干レスポンスが鈍いところがありますが、弾き方を工夫すれば問題無いです。このあたりは、もう少し太いゲージを張ってちょうど良いテンション(張り)が得られたら、解消するのではないかと思います。
最初1.70?のものを張ったとき、弾いてすぐに「テンションが弱過ぎて、こりゃダメだ。」と思いましたが、テンションが弱過ぎると、レスポンスが鈍くて弾きにくいのだということが良くわかりました。テンションが弱ければ弱いほど弦が振動し易くレスポンスが良くて鳴らし易いと思っていたので、新鮮な驚きがありました。これは、正しくは「適正なテンションの範囲では」テンションが弱い方が弦が振動し易くレスポンスが早い、ということなのだと理解しました。
 裸ガットG線1.80?では、まだ若干テンションが足りないため、音量が少々足りない感じがしますが、裸ガットのA線・D線との音の調和は大変良く、やはり裸ガット同士の相性は抜群に良いな~、と思います。裸ガットを張っているA線・D線がナイロン弦のドミナントとほぼ同様の音量が得られているので、裸ガットのG線も、適正なテンションが得られれば(適正なゲージを選択すれば)ドミナントと同様のパワフルな音量が出せるだろうと思います。
 1.80mmの裸ガットのG線の音についてですが、弦が太いことが影響していると思いますが、明らかに太く温かい音、つまり、ヴィオラやチェロを彷彿とさせるような太い音が出ます。
 弦を張った後ピッチが安定するまでの時間は、銀巻きのG線よりも裸ガットのG線の方が短い、つまり、より早くピッチが安定します。TOROの銀巻きG線は、ピッチが安定するまでに4~5日かかりますが、裸ガット(3×V)のG線は3日で安定します。
 また、湿度の変化に対する強さやピッチの安定性についても、銀巻きのG線よりも裸ガットのG線の方が優れています。これは、私が3×Vの弦を張っていることが影響していると思いますが、銀巻きG線とは比較にならないくらい、裸ガットのG線の方が、汗や湿気に強く、ピッチが安定しています。湿度だけでなく温度が変化した場合のピッチの狂いも少ないので、調弦の頻度が少なくて済みます。
 あと、銀巻きG線と裸ガットのA線・D線のピッチの狂い具合は、若干違った傾向があるのですが、A・D・G線を裸ガットに統一すると、演奏中のピッチの変化の度合いも統一感があるため、調弦の狂いが気になりにくい、というメリットもあります。
私は、ドミナントのようなナイロン弦でさえ、1時間の練習の間に2~3回調弦し直すくらい、調弦の狂いには敏感(神経質)なのですが、TOROの3×Vの裸ガットのA・D・G線の組み合わせだと、1時間の練習の間に1回調弦し直すだけ済みます。
私もそうなのですが、手に汗をかき易い人が高温多湿な時期に長時間演奏すると、金属の巻き線が腐食したりほつれたりし易いのですが、TORO弦のニスコーティングは汗や摩擦に非常に強いので、耐久性を気にすることなく安心して演奏に専念できます。
裸ガットG線のテンションが若干不足しているため、まだバランスが十分整っていない状況ではありますが、G線を裸ガット化する目処は立ちつつあると言って良いのではないかと思います。
もう少し太い裸ガットG線を張ったら、またレポートしたいと思います。それでは、ごきげんよう。

2008/07/16 19:02
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登録日時: 2013年9月23日(月) 11:26 pm

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