過去スレ:ヴァイオリンにおいて4本の弦をイコールテンション化することについて

過去スレ:ヴァイオリンにおいて4本の弦をイコールテンション化することについて

投稿記事by nomura » 2013年9月25日(水) 2:44 pm

0 ヴァイオリンにおいて4本の弦をイコールテンション化することについて
モグラ

この1年ほど、ヴァイオリンの4本の弦のテンション(張りの強さ)をイコール(均一)に近づけるという試みを行っています。

まず最初に、4弦のテンションバランスを比較してみたいと思います。

?一般的な弦(ナイロン弦、シンセティック弦)のテンションバランス
E:A:D:G=8:6:5:5
?TOROのプレーンガット弦で、ゲージ(太さ)を指定して注文してイコールテンションに近づけた場合(ただし、自分は、E線は、ピラストロ社のオイドクサのアルミ巻きE線を張ってます)
E:A:D:G=7:6:6:6
※話をわかり易く単純化するため、どちらも数値は、およそのイメージで書いています。
※オイドクサのアルミ巻きE線は、スチール弦にしては、張った直後の弦の伸びが多めなので、実際には、もう少しテンションが低いのではないかと思われます。例えば、「E」:A:D:G=「6.5」:6:6:6という具合に。
※A・D・G線には、TOROのヴェニス・カトリン(ロープ編みのプレーンガット)の3×V(3層のニスコーティングをした弦)を張っています。現在のゲージは、A:D:G=0.84ミリ:1.20ミリ:1.78ミリです。

A・D・G線にもっと太い弦を張れば、E:A:D:G=7:7:7:7という具合に、完全にイコールテンションにすることも可能ですが、テンションが高過ぎて、ものすごく弾きにくいと思います。

あるいは、もっとテンションの弱いE線を張って、E:A:D:G=6:6:6:6とすることでイコールテンションにする方法もありますが、この場合は、E線もプレーンガットにする必要があります。自分は、プレーンガット弦のE線の音の良さを認めつつも、アルミ巻きのスチールのE線の音や弾き心地が好きなので、E線にはプレーンガットは張っていません。

さて、E:A:D:G=7:6:6:6という具合に、ほぼイコールテンションにした場合にどのようなメリットがあるか列挙したいと思います。
・E線からG線まで弦を押さえるときの負荷がおおむね均一化する
・E線からG線までほぼ同じような弓圧(弦への重みのかけ方)で弾ける→ボウイングが楽になる、重音が弾き易い
・各弦が互いに良く共鳴し合い易くなり、響きが豊かになる→結果的に音量も音色も豊かになる<br>・調弦が狂いにくくなる(ピッチの安定性が増す)←4本の弦のテンションが均一化することによって、特定の弦に対して負荷がかかりにくくなるからか?

自分の楽器の駒や魂柱等のセッティングは、オリーヴを張っていたときと全く同じ状態です。つまり、自分は、イコールテンションを試みるにあたって、一切、楽器をいじっていません。

オリーヴを張っていた頃よりも、今の「ほぼイコールテンションの」プレーンガットの方が、音量的にもパワフルですし、表現や音色の幅という点でも、良い結果が得られているように思います。

最近発売されるシンセティック弦は、カタログデータによると、従来のナイロン弦よりも、イコールテンションに近いバランスになってきているようです。

なお、楽器や演奏者が、イコールテンションに馴染む(慣れる)のに、ある程度時間がかかりますので、本番の無い時期に、じっくりと腰を落ち着けてイコールテンション化に取り組むのが良いと思います。

TORO社の最高級シープガット弦は、ハイツイストもヴェニス・カトリンもどちらも非常に優れたプレーンガット弦で、(天然素材なのに)品質も非常に安定しているので、安心していろいろなゲージが試せます。本当に素晴らしいガット弦だと思います。

それでは、ごきげんよう。

2009/05/17 15:30


1 ヴァイオリンにおいて4本の弦をイコールテンション化することについて(その2)
モグラ

自分は、弦のゲージとテンションについては、下記のサイトを使って計算しています。
http://www.cs.helsinki.fi/u/wikla/mus/C ... lc.html#P1

密度はガット弦を選んで、弦の長さを330ミリとすると、理論的な(計算上の)テンションは次のようになります
A:0.84ミリ・6.079?、D:1.20ミリ・5.526?、G:1.78ミリ・5.416?

しかしながら、ガット弦の性質上、細い弦ほど「弦を張った直後は」多く伸びる=弦が細くなる=テンションが下がる、という傾向がありますので、実際のテンションは次のようになっていると予想されます。
A:5.5?程度、D:1.20ミリ・5.4?程度、G:1.78ミリ・5.3?程度
※上記の数値は、これまでに自分自身が多種多様なゲージのプレーンガット弦を試した経験を基に「予想した数値」です。

オイドクサのアルミ巻きE線については、太さ約0.30ミリ、テンション7.30?というデータを見たことがありますが、オイドクサのアルミ巻きE線は、弦を張った直後の伸びが、スチール弦にしては多いように思うので、テンションは7?を下回っているのではないかと思います。

一方、左手の指で押さえたときに感じる弦のテンションや右手(弓、ボウイング)で感じる弦のテンションとしては、今のところ、A・D・G>Eという感じなので、あともう少し細いA・D・G線を張る必要があるように思っています。

自分としては、物理的なテンションの数値がイコールになることを目指すのではなくて、指や弓で感じる「感覚的なテンション」がイコールになることを目指しています。

現在張っているヴェニス・カトリンのプレーンガット弦自体が、ピッチが非常に安定していることもありますが、4本の弦をイコールテンションに近づけたことも、調弦の安定性(調弦の頻度が少なくて済むこと)に寄与(貢献)しているように思います。

なお、1.20ミリのD線や1.78ミリのG線というのは、太過ぎて演奏に支障があるように思われるかも知れません。たしかに、ある程度慣れるのに時間がかかりますが、慣れてしまうと全く問題ありません。

自分は、これまでに1.26ミリのD線や1.88ミリのG線という極太のプレーンガット弦を張ったことがあるので、現在張っているゲージは、それほど太く感じません。
自分は最終的には、A・D・G線のゲージをあと3~5%程度細くしようと思ってますが、それぐらい細くなると、弦の太さに関しては、全く気にならなくなるのではないかと予想しています。

それでは、ごきげんよう。

2009/05/17 21:34
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登録日時: 2013年9月23日(月) 11:26 pm

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