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ギター弦の小歴史

投稿記事Posted: 2014年12月06日(土) 3:32 pm
by Julio
現在のほとんどのクラシックギター愛好家が初めて楽器を手にした時、そのギターには先ず間違いなくナイロン弦が張られていたことと思います。まるでギターの歴史とともにナイロン弦が歩んできたかの如く、他の選択肢を考えるまでもなく、ナイロン弦を使い続けている、というのが現実ではないでしょうか。しかしながらそのナイロン弦も、第二次世界大戦の終わろうかという頃に、アンドレス セゴビアとアルバート オーガスティンの協力で誕生したもので、ギター弦としてはまだ数十年の歴史しかありません。
6弦単弦のギターが生まれてから20世紀半ばまでのギター弦と言えば、羊や牛の腸から作られたガット弦でした。かつて日本でクラシックギターのことをガットギターと呼んだことがありますが、それはガット弦の張られたギターということで、かつての名残があったのでしょう。
爪で弦を弾くとナイロンと違い、自然物である動物の腸の極細い繊維は擦り切れやすいこともありますが、ナイロン弦誕生以前にはギターは指頭で演奏されることも多く、その場合にはそれほど大きな問題ではないようです。そして何よりもガット弦は音質が良く、素早い反応、スラーの容易さ等と相俟って、楽弦としての魅力は大きなものです。
一度実際にガット弦を試し、その良さを実感されてはいかがでしょうか。